「IPv4/IPv6トランスレータ」でIPv6に対応

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製品の基礎から選び方までをサポート! IT導入完全ガイド

「IPv4/IPv6トランスレータ」でIPv6に対応

2011/11/28


 2011年4月、JPNICによる日本国内でのIPv4アドレスの割り振りが終了したという報道を耳にした人も少なくないだろう。IPv4が枯渇してしまったら、今にもIPv6への移行が必要なのでは!?と思う方も少なくないだろう。しかしながら実情はそうでもないようなのだ。ただ一方で、未来のいずれかの時点でIPv6へ移行せざるを得ない事態が来るのは確かだ。この移行フェーズにおいて、有効な手段の1つが、「IPv4/IPv6トランスレータ」であり、これから導入を検討する機会も増えてくるのは間違いなさそうだ。
 そこで今回のIT導入完全ガイドでは、IPv4とIPv6の現状を知るとともに、「IPv4/IPv6トランスレータ」の基本機能を解説し、その選び方のポイントを紹介していく。

IPv4/IPv6

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IPv4とIPv6の現状は?

 以前から「まもなく枯渇する」と言われていた「IPv4」だが、とうとう2011年4月15日に、日本を含むアジア太平洋地域全体での在庫が終了したと宣言された。この「在庫終了宣言」を詳しく解説しよう。

■IPv4の枯渇状況

 まずIPアドレスを配布する上流組織である「ICANN」がこれまで持っていた、配布可能なIPv4アドレスの在庫が、2011年2月3日をもってなくなった。さらに、ICANNからIPアドレスを供給され、アジア・日本地域のユーザにIPアドレスを配布する組織「APNIC」と「JPNIC」が持っていたIPv4アドレスが、2011年4月15日に配布完了して在庫が尽きた。これが「在庫終了宣言」の実情だ。

 これはイコール「IPv4アドレスの枯渇」ではない。それというのも、APNICおよびJPNICからIPv4アドレスを供給され、実質的にIPアドレスをエンドユーザ(企業や個人)に配布しているのはISP(インターネットサービスプロバイダ)である。つまりこの「在庫終了宣言」は、ISPへ配布可能なIPv4アドレスの在庫がなくなったことを意味する。
 そしてISP自体はこれまでの蓄積、そして最後に割り当てられたものによって、まだわずかながら配布可能なIPv4アドレスを在庫として所有している。各ISPはその在庫量を明確にしているわけではないが、今回取材した関係者によれば、従来の配布ペースであれば1年程度はIPv4アドレスを配布することは可能であるとのこと。また、利用されていないIPv4アドレスを、ISPやエンドユーザ同士で譲渡したり売買したりして融通し合うことも可能になっている。
 つまり、今回の「IPv4アドレス在庫終了宣言」はその名のとおりIPv4の「新規取得」アドレスがなくなったという意味の「枯渇」であって、それによって、現状我々が利用しているIPv4アドレスがいきなり使えなくなるということではない。しかし、実際に新規のIPv4アドレスを取得することができなくなる日は必ず来ることだけは覚悟しておきたい。

図1 IPv4アドレスの枯渇状況
図1 IPv4アドレスの枯渇状況
JPNICはAPNICの下部組織であるが、アジア・太平洋地域へのIPアドレス配布を担当しているのはJPNICなので、実質IPアドレスの在庫を持っているのはJPNICとなる
■そもそもIPv4とは?IPv6とは?

 そもそも、IPv4とIPv6はそれぞれどういったものか?かいつまんで説明しよう。
 我々がインターネットを利用するには「IPアドレス」が必要である。その割り当てに現状使用できるプロトコルが「IPv4(Internet Protocol Version 4)」と「IPv6(Internet Protocol Version 6)」というわけだ。
 IPv4は32ビット(2の32乗)で、IPv6は128ビットでそれぞれIPアドレスを表記して割り当て、コンピュータをはじめとするインターネットに接続するデバイスを管理する。IPv4で管理できるデバイスの台数は最大で42億9496万7296台となる。IPv6の場合はその4乗の128ビットとなり、最大340澗(340兆の1兆倍の1兆倍)台と事実上は無限大のアドレスを割り振ることが可能となる。
 両者のアドレス数の違いをたとえて表現すると、バケツ1杯に砂を詰めたとき、その砂粒すべてにアドレスを割り振れるのがIPv4のアドレス数。そして、IPv6のアドレス数は、地球と同サイズの容器に同じように砂粒を詰め込んで、その砂粒すべてにアドレスを割り振ることができる。これぐらいのアドレス数の違いがあるということだ。

図2 IPv4とIPv6のアドレス表記
図2 IPv4とIPv6のアドレス表記

 IPv4はインターネットの黎明期から長い歴史の中で使われてきたため、そのときどきの必要性に応じた改変が行われてきた。IPv4の仕様そのものを変更したり、対応するデバイスの仕様を変更したりすることで、セキュリティを確保したり、NATやファイアウォール越しのP2P通信といった機能を可能にしたりしてきたのだ。
 対してIPv6は、IPv4の後継として考慮されたプロトコルである。インターネットが一般化し始めた1995年ごろから策定され、IPv4が長年にわたって改良されてきた「いい部分」を吸収した仕様となっている。例えば、セキュリティに配慮され、暗号通信規格「IPsec」が標準実装されていて、安全にインターネットを介した通信が可能である。また、無限のアドレス数のために、それこそすべての通信デバイスにアドレスを割り当てることで、容易でしかも安全なP2P通信を可能とする。さらに、「IPv6マルチキャスト」によって、特殊な通信デバイスがなくても、1つのアドレスから複数のアドレスへデータを送信できるため、ネットワークや通信デバイスの負荷を軽減できるというメリットもある。

図3 IPv6で安全なデバイス間の通信が可能となる
図3 IPv6で安全なデバイス間の通信が可能となる
すべてのデバイスにIPv6アドレスを割り当てて相互通信が可能になる。
■あえて移行が必要ではない…IPv6の現状

 すでにほとんどのISPがユーザにIPv6接続サービスの提供を開始している。また多くのネットワークデバイス製品やデータセンタなどもIPv6に対応している。しかし、現状ではそれほどIPv6の普及が進んでいない。その理由は大別すると2つ挙げられる。
 まず、冒頭で述べたような「在庫の終了」や「枯渇」といったことが報じられていながら、IPv4が使えなくなる日がすぐに来るわけではないからだ。2011年7月の「地上アナログ放送の停波」は記憶に新しいことと思う。あのような「今日の正午からアナログテレビは映らなくなる」というように、「明日からIPv4が使えない」とはならない。そして現状では、前述したIPv6のメリットはIPv4とその追加プロトコルでほとんどが実現されている。その点で考えるとあえてIPv6にする大きなメリットがないのが実情なのだ。
 そして、IPv4とIPv6の互換性がまったくないところも普及が進まない1つの理由だ。企業のネットワークをIPv6に完全対応させるためには、スイッチやサーバなどあらゆるネットワークデバイスをIPv6対応製品に変更せざるを得ない。現在ポピュラーなクライアントOS(Windows 7、MacOS Xなど)はIPv4とIPv6に両対応するものの、それ以外のネットワークデバイスをすべてIPv6対応製品で揃えるのは、コスト的にも大きな負担となる。「IPv4が変わらず使えるのであれば…」とユーザが躊躇する心情はもっとものことなのである。

■将来的にはIPv6移行は必要

 導入が進まないとはいえ、IPv6へ移行せざるを得ない状況は確実に来る。今回の取材では、IPv4アドレスの配布が不可能になり、完全に「枯渇」すると言われている2013年にIPv6導入が加速するタイミングであると予想する声が聞かれた。
 また一方で、インターネットが「完全に」IPv6環境へ移行するには10年から20年かかるのではないかという予想も今回の取材の中で聞くことができた。つまり、IPv4からIPv6への移行は開始せざるを得ないものの、必然的にIPv4との混在環境でIPv6を運用せねばならない状況になるということだ。

■IPv4/IPv6トランスレータの役割

 そういったIPv4とIPv6が混在する環境で、両者を共存させてインターネット通信を可能とする技術がいくつか存在する。「トンネリング」、「デュアルスタック」、「IPv4/IPv6トランスレータ」などが、IPv4/IPv6共存環境での通信を実現する技術だ。

トンネリング

 「トンネリング」は、IPv4ネットワークを通してIPv6ネットワーク同士を接続してIPv6での通信を可能にする(IPv6 over IPv4)。逆に、IPv4ネットワーク同士を、IPv6ネットワークを通して接続することもできる(IPv4 over IPv6)。しかしいずれにしても、同一ネットワーク内はIPv4またはIPv6のどちらかのプロトコルで統一しなければならない。

デュアルスタック

 「デュアルスタック」は、ネットワークデバイスそれぞれをIPv4とIPv6に両対応させることで、どちらのプロトコルででも通信できるようにする技術。この場合、単一ネットワーク上でIPv4プロトコルとIPv6プロトコルの両方の通信が可能となるが、あくまで通信できるのは同一プロトコル間のみ。つまり、IPv4のみに対応するデバイスとIPv6のみに対応するデバイスの間で通信できるわけではない。

IPv4/IPv6トランスレータ

 「IPv4/IPv6トランスレータ」は、現在よく使われている「NAT」の技術を応用したもの。IPv4アドレスとIPv6アドレスを変換して紐付けて通信を可能にする。つまり、IPv4対応デバイスとIPv6対応デバイスがお互いにプロトコルの違いを意識せずに通信できる。なお、その詳細は次項で解説する。

図4 IPv4とIPv6混在環境におけるトンネリングとデュアルスタックの役割
図4 IPv4とIPv6混在環境におけるトンネリングとデュアルスタックの役割

コラム:ところでIPv5ってどうしたの?

 現状のインターネットプロトコル(IP)が「IPv4」、次世代のIPが「IPv6」。あれ? その間の「IPv5」はどうしたの?と思うのはある意味当然。普通はバージョンというのは徐々に数字を増して上がっていくものだからだ。
 IPを策定しているIANAという組織は、IPv4のあとに後継となりそうないくつかのIPを実験的に開発し、開発の順にナンバリングして管理していた。
 IPv4の次に開発されたIPは「5番」とナンバリングされた。そしてIPv4以降、5番から9番まで5種類のIPが開発された。そのうち、次世代IPとして正式採用されたのが「6番」のIPだったため、そのナンバリングをそのまま活かして、「IPv6」を名乗ることとなった。つまり、「IPv5」自体は存在する。ただ、正式な次世代IPとして採用されなかったから、その名を冠したIPは表面だって存在していないということだ。


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