サーバ仮想化で変化が!ストレージ最新動向

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掲載日 2011/12/06

ザ・キーマンインタビュー サーバ仮想化がストレージ市場を後押し…。複数プロトコル対応製品も登場!「ストレージ最新動向」

大震災や電力不足の影響でマイナス成長が予測される国内の外付け型ストレージ市場。だがその中身を分析すると、ストレージ仮想化やユニファイド・ストレージといった新しいストレージ技術や製品を提供しているベンダは着実に成長しているなど、新たな変化の胎動が読み取れるという。市場予測レポートを執筆したIDC Japanの森山正秋氏にお話を伺った。

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森山正秋氏


IDC Japan リサーチ第1ユニット(ストレージ/サーバー/HCP/PCs)
グループディレクター 森山正秋氏

ストレージに対する投資の仕方が変わった

Question

2011年6月1日に発表した国内外付け型ディスクストレージシステム市場予測では、2011年の市場規模は大震災や電力不足の影響を受けて前年比6.6%減になると予測されていました。予測にはその後変化はありましたでしょうか?

Answer

IDC Japan:森山正秋氏

予測値を出したのは震災後間もない4月頃でした。当時はサプライチェーンが分断されたままで、電力供給もその時点では計画停電が継続されると予想されていましたので、IDC JapanではストレージだけでなくIT投資全般についても厳しい見方をしていました。しかしその後約半年の実績を追うことで大震災や電力供給問題の影響がある程度見えてきましたので、10月25日に発表した国内製品別IT市場予測では、前年度比マイナスは変わりませんが、当初の見込みよりも上方修正しています。ストレージについても近々発表する予定ですが、マイナス幅はもう少し小さくなる可能性があります。

 影響が当初予測したほど厳しくならなかったのは、企業や社会全体で取り組んだ節電対策が奏功して生産や企業活動が失速しなかったことや、通信キャリアの大型投資や理化学研究所の京速コンピュータへの投資といった大型案件が上半期に計上されたことなどがあります。

 大型案件がなければ厳しかったのは事実ですが、それでも当初の予測よりは良くなってきています。その理由として、国内のエンドユーザのストレージに対する投資の仕方が変わってきたことが挙げられます。市場全体としてはマイナスですが、プラス成長しているベンダも存在しています。新しいストレージ技術の製品を積極的に投入しているベンダはプラス成長になっているケースが多いです。

図1 国内外付け型ディスクストレージシステム売上実績と予測(2007年〜2015年)
図1 国内外付け型ディスクストレージシステム売上実績と予測(2007年〜2015年)
出典:IDC Japan(2011年6月)

Question

新しいストレージ技術とは具体的に何でしょうか?

Answer

ストレージの仮想化、あるいはシン・プロビジョニングです。ストレージの仮想化自体は必ずしも新しい技術ではありませんが、2009〜2010年ぐらいから普及し始めました。その背景にあるのが、ストレージに対する投資の仕方の変化です。以前は、3年先、4年先を考えて容量やシステムを選ぶのが一般的でした。逆に言うと、3年先、4年先にならないとすべての投資が有効にならないわけです。

 2008年後半のリーマンショック以降、IT投資をできるだけ抑えて投資を効率化していこうという企業の欲求が高まり、仮想化に対するニーズが増大しています。分かりやすい例はサーバの仮想化ですが、ストレージについても同様に仮想化製品を導入するケースが増えてきています。仮想化を利用すればシステムを止めずに小刻みに増設していけるので、容量の利用効率を上げ、不必要な投資を抑えることができるからです。

 このような技術の市場規模はまだ小さいですが、その市場は、2011年上半期はだいぶ成長してきています。そこからもユーザの投資の仕方の変化が感じられます。

Question

ストレージ技術の変化は、プライベートクラウドやパブリッククラウドにおけるストレージ選びにも変化を及ぼしているのでしょうか?

Answer

はい。変わってきています。プライベートクラウドに移行する前段階としてサーバの仮想化があるわけですが、サーバを仮想化するとストレージに対する要求、要件もかなり変わってきます。

 サーバを仮想化するとシステムのフレキシビリティが上がるので、当然ストレージにもそれに追従できる柔軟性が求められるようになります。例えばシステムを止めずに容量を増やせるとか、仮想サーバの増加に合わせてストレージのI/O性能を上げられるとか。また、1台の物理サーバ上で動いている仮想サーバがどんどん増えていますので、データ保護の面でもストレージの重要性が高まっています。プライベートクラウドはサーバ仮想化の次に続くものですので、新しいストレージ技術の導入は必須になってくると思います。

Question

パブリッククラウドも同様でしょうか?

Answer

パブリッククラウドはサービスプロバイダが価格競争力やサービス品質を高めるためにシステム全体の利用率向上や高可用性に非常にセンシティブですので、一般企業に比べて新しいストレージ技術の導入に積極的です。


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構造化データと非構造化データをいかに統合管理するか

Question

ストレージ仮想化(シン・プロビジョニング)以外に注目すべきストレージ技術にはどんなものがありますでしょうか?

Answer

IDC Japan:森山正秋氏

ストレージ仮想化とも関連しますが、ユニファイド・ストレージです。

 企業が保有するデータは激増していますが、急速なスピードで増加しているのはテキストやEメール、音声、画像、動画といった非構造化データです。この非構造化データをどのように管理していくかというのが、ストレージへの投資においても、新しい技術においても、重要な課題になっていくと私たちは考えています。

 非構造化データははっきり言って玉石混合で、必ずしもすべてが必要というわけではありませんが、もしかしたら必要になるかもしれないということで保存されているものも多いのです。このようなデータなので安いコストで管理でき、なおかつ、非構造化データの増え方は一律ではないので、拡張性に優れたストレージであることが重要になってきます。先ほど仮想化製品はプラス成長していると述べましたが、同様に伸びているのが非構造化データの保存に適したファイルストレージのNASなのです。

 データベースやERPなどで扱われる構造化データのストレージには、データアクセスが高速なブロックストレージが使われます。使用プロトコルで言えば、FC(Fibre Channel)やiSCSIなどです。一方ファイルストレージではCIFSやNFSなどのプロトコルが使用されますが、これらの複数のプロトコルに対応しているのがユニファイド・ストレージです。

 ユニファイド・ストレージはブロック、ファイルの双方のプロトコルに対応しているため、これまで別々に必要だったブロックストレージとファイルストレージを統合できるというコストメリットがあります。更に1つの管理ツールで両方のストレージを管理できるため、システム管理者の管理負荷を軽減できます。特に中堅・中小企業では、ブロックストレージとファイルストレージを別々に持つのは投資効率の面であまり良くありませんので、そういった企業にとっては非常に良いソリューションになると思います。

Question

代表的なベンダはどこでしょうか?

Answer

NetAppやEMCなどです。ほかのベンダもマルチプロトコルサポートを進めていますので、今後の市場の大きな流れになっていくと思います。


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サーバ仮想化がストレージの新需要を生み出す

Question

2011年の市場全体としてはマイナス成長ですが、投資の中身、投資の対象となる製品や技術が変わってきたということですね。

Answer

IDC Japan:森山正秋氏

そうです。ただ、マイナス成長というのはメインフレーム系のストレージも含んだ市場全体のことで、オープンシステム系のストレージだけを見ればプラス成長となっています。そういう意味では成長性のあるマーケットだと思います。

 先にも述べましたが、IT投資が抑制される中、どうやって投資を抑えながら増え続けるデータを管理していくかがユーザにとって1番重要なポイントになっていますので、これまでのようなムダの出る投資パターンは繰り返さない、投資するのであれば新しいストレージ技術製品に投資するというユーザが増えていくと思います。

 これまでに何度もサーバ仮想化の話をしていますが、サーバの仮想化によってストレージの新しい需要も創出されています。例えば、ストレージ内蔵の物理サーバを20台使っていたユーザが物理サーバを2台に集約して外付け型の共有ストレージを新たに導入すれば、外付け型ストレージの需要が伸びたことになります。

 サーバの仮想化は大手企業だけでなく中堅・中小企業もどんどん進めています。これまで外付け型ストレージを購入したことがなかった中堅・中小企業がサーバ仮想化を機に導入するケースも増えていますので、ストレージの需要は今後も伸びていくと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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IDC(International Data Corporation)は、IT及び通信分野に関する調査・分析、アドバイザリサービス、イベントを提供するグローバル企業である。47年に渡り、IDCは、世界中の企業経営者、IT専門家、機関投資家に、テクノロジ導入や経営戦略策定などの意思決定を行う上で不可欠な、客観的な情報やコンサルティングを提供してきた。
 現在、110ヵ国以上を対象として、1000人を超えるアナリストが、世界規模、地域別、国別での市場動向の調査・分析及び市場予測を行っている。
 IDCは世界をリードするテクノロジメディア(出版)、調査会社、イベントを擁するIDG(インターナショナル・データ・グループ)の系列会社である。


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