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ビッグデータがもたらす機会と課題

2011/11/24


 最近何かと話題の「ビッグデータ」。情報爆発の時代と呼ばれる現在、莫大な情報量を対象にしてビジネスに有意義な情報を抽出・処理し、活用可能にする技術が実用段階に入ってきた。今は、メディアとベンダ、そしてユーザも揃ってビッグデータが技術的に取り扱えることになったことを祝う祭を繰り広げているような状況だ。しかしビッグデータが取り扱えることと、そこから利益を得ることとが直接リンクしているわけではない。データの量の問題にのみ注目していると、データの先にあるはずのメリットを見失ってしまうかもしれない。過大な投資をせず、しかもビッグデータからの恩恵が得られるように、過去の経緯を振り返りながら、考え方を整理してみよう。

ビッグデータ

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アナリストプロフィール

堀内 秀明

リサーチ部門 アプリケーションズ マネージング バイス プレジデント
堀内 秀明(Hideaki Horiuchi)

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アナリストファイル #054

日本国内のデータベース・ソフトウェアなどのソフトウェア市場動向・将来予測・競合分析ならびに、ビジネス・インテリジェンス・システムの製品選定、システム導入に関するアドバイスを担当。現在は、日本におけるアプリケーション・グループの責任者も兼任している。ガートナー ジャパン入社以前は、国内大手SIベンダにて10年間、製品調査、システム提案/構築ならびに技術支援に従事。慶應義塾大学理工学部卒。



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ビッグデータを理解するために

 情報爆発と呼ばれるように、日々多くのデータが生み出され、蓄積されている現在、莫大な量のデータからこれまでにない情報が得られるのではないかと期待されている。実際に、ソーシャルメディアの大量のデータはマーケティング部門で利用され始めているし、大規模データをすばやく分散処理して管理できるHadoopも、一部の企業では実際に使われ始めた。
 ところが、これほど話題が盛り上がっている一方、意外なことにビッグデータが何に役立つのかはあまり語られていない。情報量の問題はよく語られる一方で、それをどう使うのかという話が抜け落ちている。
 膨大なデータ量の増加に対応したその先に何があるのか、何らかの答えを見つける必要がある。それには、少し歴史をさかのぼって、ビッグデータの生い立ちを考えてみるとよいだろう。

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ビッグデータを紐解く歴史的背景

■ビッグデータの契機はGoogle

 そもそもビッグデータはGoogleに端を発している。GoogleはITの大きな転換を呼んだ。それは情報爆発の前と後とを分ける、まさに画期的な成功だった。

■情報爆発の前後の情報流通の現実

 情報爆発の前の時代はどうだったか。それは情報に飢えていた時代だった。情報は部分的にしか表出せず、情報流通にはテレビ、雑誌、新聞などによるマスコミュニケーションが重要な役割を果たしていた。そのほかは身近な人との会話などがせいぜいで、情報を発信する企業は出ていく情報をコントロールすることができた。
 ところが、やがてインターネットが普及し、Webページ、ブログ、Twitter、Facebook といったサービスが登場して、不特定多数が会話をし、行動を起こすことができるようになった。そこでは企業が情報をコントロールしようとしてもできない状況が生まれた。例えば、製品についての不具合や、顧客対応における不始末などは、昔なら企業側が統制をすれば情報が外部に漏れるのを防ぐことができた。しかし今では当該顧客がソーシャルメディアに自らの経験を書き込めば、野火のようにまたたく間に情報がゆきわたってしまう。これが情報爆発後に出現した現実だ。

■企業があやかりたいGoogleの成功

 情報の発散がコントロールできなくなる一方で、自分の欲しい情報がどこにあるのかを知ることも、困難になっている。インターネットの黎明期では、その問題への回答は検索エンジンだった。YAHOO!は、Webページのカタログを作った。しかしWebページがどんどん増える中で、その方法では限界が見えてきた。Googleは、むしろWebページが増えていく中で、ユーザが知りたい情報に正確に導いていける、シンプルな仕組みを作った。爆発的に増えていく情報の中で、自分が知りたい情報に近づいていける方法を、Googleは提供してくれた。
 この方法によってGoogleは成功した。爆発した情報を上手に利用すれば、企業は大きな成功を収めることができることが示された。ほかの企業も同じように成功したいと考えるのは当然だ。Hadoopがビッグデータに関連して話題にのぼることが多いが、HadoopはそもそもGoogleのMapReduce技術をJavaで実装し、オープンソースで提供したものだ。企業がHadoopに取り組むのも、ビッグデータ活用の先人であるGoogleの成功にあやかりたいという思いがあるはずだ。

■ビッグデータに対する期待と動き

 一方で、システムベンダ側が発しているビッグデータのメッセージには何か違和感をおぼえる。自社の現在の製品とビッグデータを紐づけてユーザに提示しているのだが、実際にベンダ側は自分のビジネスにビッグデータを利用しておらず、成功の経験がないことが多い。加えて、ビッグデータが今までのテクノロジとどう違い、どう使い分けるのかに答えていない。それが違和感の原因だ。
 また、従来からの高価なRDBとは違う、オープンソースのHadoopに、コスト面で期待する企業もある。Hadoopを使えば、ソーシャルメディアの大量のデータ分析のような用途でも、RDBより低コストで自前のシステムが構築できるのではないかというわけだ。またバッチ処理を高速で行うことができるという特長から、基幹系のバッチ処理に利用しようという動きも生まれている。

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