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掲載日 2011/07/26
システム部門の羅針盤 大震災から得た教訓とは何か?実現可能な“BCP”策定マニュアル 「BCP策定」ベンダ座談会 後編

株式会社NTTPCコミュニケーションズ●齋藤 壽勝氏 井崎 義浩氏 日本電気株式会社●一森 久美氏 和田 祥光氏 日本マイクロソフト株式会社●澤 円氏 吉村 徹也氏

BCP対策の現実と震災時の状況

【中西】 最初に、企業として取り組まれているBCP対策について教えて下さい。

座談会風景

【NEC:一森】 BCP対策という面では、大きくは3つに分けることができます。まずは社内情報システムを含めて安否確認や資金面での対応など全社共通で行うもの。次に全国に点在している事業所や工場単位で行うもので、その場で行う従業員の安否確認や建屋の破損状況などのチェック。そして、最後がお客様や取引先に対する事業ラインごとのBCPです。中でも、重要な社会インフラに関連したお客様のシステムには、人員の確保や堅牢なシステム設計も含め、何が起きてもすぐに対応できるようなBCPを構築しています。社内の情報システムに関しては、目標復旧時間や優先順位を付けており、最優先となるメールや社内ポータルなどコミュニケーション部分は6時間以内に復旧させるという目標があります。また、販売系や経理系、資材購買などの重要基幹システムは3日以内に立ち上げるという目標です。

【NTTPC:齋藤】 弊社では、いち早く社員及びパートナー社員の安全確認を行える安否確認システムを開発・運用しています。また、我々はインフラを提供している企業だからこそ、お客様のネットワークやデータセンタ設備を止めることなく安全に運用し続けるということをBCP対策として意識しています。何かしらの災害があった場合は迅速な対応が求められるため、まずはNOC(Network Operations Center)などにネットワークやサーバのオペレータを確保することから始めます。このオペレータは全部で8名ほどが招集され、拠点には9日間分の食糧が備蓄されています。また、自家用発電機が備えられており、万一でも電源が喪失しないようになっています。なお、回線の目標復旧時間は4〜8時間以内と考えています。

【MS:澤】 我々は、BCPのために何か特別な仕組みは入れていません。もともと自社のワークスタイルをデザインする過程で、いつでもどこからでも仕事ができる状況を作ることを意識しました。その大きな枠の中にBCPというものが入っており、その振る舞いの1つに在宅勤務というものがあるのです。これは正社員だけでなく、派遣社員も含めて通常の振る舞いの中で実現できるということもポイントです。この中で最も重要なものにコミュニケーションがありますが、メールはもちろんすべてIPフォンで転送設定をしておけば通常の電話も携帯電話に転送される仕組みとなっています。安否確認もIP網で行えるようになっています。

【中西】 今回の震災ではどんな状況だったのでしょうか?

座談会風景

【NEC:和田】 現場レベルの話になりますが、震災当日は外線電話が発信規制で全然つながらなくなりました。ところがインターネットと社内イントラネットは生きていたため、企業内でのチャットツールを利用して内部の安否確認を行ったり、内線電話として使えるスマートフォンでコミュニケーションを取ったりしました。また、Web会議とホワイトボードを利用して西日本のほうに震災の状況を伝えることもしました。弊社からシンクライアントの仕組みを購入されたお客様からは、津波でPCが流されてしまったものの、端末だけ用意すればすぐに業務が再開できたという話も聞いています。

【NTTPC:齋藤】 4〜8時間という目標復旧時間があったのですが、お客様のインフラ設備や営業所そのものが流されてしまうなど、想定通りにはいきませんでした。実際は、2週間あまりを費やして、モバイル接続できるルータを現地に送り、お客様の工場の稼働を再開させる施策なども行いました。モバイルのルータは顧客向けには35台ほど、ビジネスとは関係のない部分ですが、現地の災害本部やNPO団体にも約200台を送り、未だに活用していただいています。

【MS:澤】 実は、品川に移転する際にワークスタイルの見直しが行われていたこともあり、震災当日に社長からのメール1通で全社に指示が出て、月曜日の段階から全員在宅勤務に切り替わりました。企業活動は1日も止めておらず、メール1通だけですべて完了しています。社内の建屋内でも社外であっても同様のアクセシビリティが提供されているため、いつも使っているITを経由して「明日から在宅勤務に切り替えます」という指示が飛んだだけ。通常使っているITの指示で全社員の振る舞いをさっと変えることができたのです。

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