キリン「プライベートクラウド」構築事例

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掲載日 2011/01/18
システム部門の羅針盤「実録!プライベートクラウドの作り方」

キリンビジネスシステム株式会社
情報技術統括部●インフラ技術管理グループ●担当部長吉田幸博氏 設立:1988年
本社所在地:東京都渋谷区

キリンビールやメルシャン、小岩井乳業などを事業会社に持つキリンホールディングスの中にあって、グループにおける全体最適を目指したIT戦略を推進するキリングループ唯一の情報システム会社。物流・生産システムや営業システムをはじめ、グループ全体のIT共通基盤整備を請け負っており、キリングループにおけるIT戦略の中核を担っている。

プライベートクラウド導入のきっかけとその手順

キリンビジネスシステムがグループ全体のインフラ整備に乗り出したのは2000年頃。老朽化したサーバやPCなどを刷新していくタイミングに合わせ、サーバOSのアップグレードやActive Directoryの整備、ポータル導入などシステム基盤の変更が行われることになったと同社情報技術統括部 インフラ技術管理グループ 担当部長の吉田氏は当時を振り返る。

【中西】 現在のプライベートクラウド基盤を整備されたきっかけを教えてください。

編集長:中西由紀

【吉田】 2000年に行われたシステム刷新の過程で、将来像についての議論がグループ全体で持ち上がりました。同じ環境を作ることで仕事の効率が向上し、システム面でも共通基盤化したほうが横展開しやすいという考え方がコンセプトとしてあったのです。そこで、まずはキリンビールが使っているシステムを確認し、使えるサービスや情報インフラを洗い出しました。その後、ネットワークやファイルサーバ、PC関連などオフィスワークに必要最低限な機能を標準化し、グループ企業各社のインフラ更新に合わせて変更していったのがきっかけです。

【中西】 現在はサーバインフラも含めてクラウド基盤上で構築されていますが、業務系サーバの統合についてはどんなタイミングで実施していったのでしょうか?

【吉田】 当初はクラウド基盤を意識したことはありません。PCやファイルサーバの共通化によりインターフェースの整理も自然と図られ、キリンビールを主としたアプリケーションを他の事業会社でも利用できる土台が出来上がってきました。またグループ内での共通化の推進も進めていたことで、ユーザの情報インフラに対する認知度の高まりや広がりもあり、業務アプリケーションについても一部開放していくようになったのです。そこでサーバインフラそのものを統合していこうという流れが出来上がっていきました。

吉田幸博氏

【中西】 ユーザ要望から今の基盤作りの基礎が始まったということですね。

【吉田】 ユーザ要望も重要な要素です。我々が事業会社のインフラ運用を開始してから「こんなアプリケーションを導入したい」という要望が直接届くようになり、その都度各ベンダと調整しながら安価なWindowsサーバを導入していったのです。小粒ながらサーバ数が増え始め、さらにその導入スピードの速さが求められるケースもありました。ただ、たとえ安価なサーバであっても、手配から環境整備までには最低でも1ヵ月あまりは必要となってしまいます。その頃から、ホストやUNIXのように、1つのリソースを使って複数の環境が提供できるインフラがあればユーザの要求に迅速に応えられるのではないかと考え始めました。そこで、2003年頃より仮想化ツールの検証を開始することに。まだ候補になる製品もあまりなく、2製品しか対象にしていませんでしたが、約半年ほど製品検証をしています。

【中西】 当時苦労されたことはありますか?

【吉田】 単一サーバのほうが性能的なメリットがあるのは当然ですし、さらに仮想化によるサーバ統合によって障害発生時の切り分けが困難になってしまうのではなど、いろんな想定をしました。しかしそれでは話が前に進まないため、まずは単一で動いている15台のサーバをターゲットに、VMwareの導入を2004年から開始することにしました。また、別途10台程度の仮想サーバが動かせるサーバリソースを準備しておき、新たなアプリケーションの要求が出てきた段階で、仮想上でまずは動かしてもらうことにしました。仮想化の目的はサーバ統合ではなく、“レガシーシステムの移行先”“現象テストが行える程度の安価なサーバを提供する”“短期間にシステム導入を行う”というものだったのです。

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