2つの視点で考える!スマートフォン選定術

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2つの視点で考える!スマートフォン選定術

2010/11/08


 個人で利用するユーザが爆発的に増えたことによって広く認知された「スマートフォン」。その高機能な端末性能と高機動性は、ビジネスで活用できる可能性を感じさせる。また、スマートフォンのセキュリティ管理や一元化された機能制限など、運用面での不安も解消しつつあり、企業で利用できる環境も整いつつある。しかしながらここのところ、発売されるスマートフォンの種類は多岐に渡るため、どんな端末を選んで導入するべきか、そのポイントを絞りにくい状態にもなっている。そこで今回は、企業で利用することを前提に“利用者の視点”と“運用管理者の視点”に分けてスマートフォン選びのポイントを解説していこう。なお、スマートフォンについての最新事情は「IT製品解体新書」を参考にしていただきたい。

スマートフォン

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1

スマートフォンの選び方

 企業にスマートフォンを導入する場合、スマートフォンの選び方には2つの視点があることを把握して選定に臨みたい。まず1つは、端末を使うエンドユーザの「利用者としての視点」である。ハードウェア、ソフトウェアを通して、端末の使い勝手がよいものをユーザが求めるのはごく自然なこと。
 もう1つの視点は「管理者としての視点」である。導入した際に既存の社内グループウェアやその他の社内システムと円滑な連携が可能かどうかは非常に重要だ。また「IT製品解体新書」でも取り上げたが、端末のセキュリティ管理や機能制限の一括管理といった管理者としての業務が容易に行えるかどうかも重要だ。
 なお、「IT製品解体新書」でも解説したが、現在、国内で入手できるスマートフォンには4種類のプラットフォームが存在する。

iOS(端末:iPhone 4)

Android(端末:各種Android端末)

Windows Mobile(端末:各種Windows Mobile端末)

BlackBerry(端末:BlackBerry Bold 9700)

 しかしこの中で、「Windows Mobile」に関しては、次期「Windows Phone 7」の製品販売とサービスが開始することもあり、これからスマートフォンを導入する企業にとっては導入には慎重にならざるを得ない状況だ。同OSを搭載した製品の販売は継続されているし、現行のOS「Windows Mobile 6.5」もしばらくはマイクロソフトによるサポートが続くとされている。しかし、現行機から「Windows Phone 7」へのバージョンアップは明言されておらず、アプリの互換性もない(「IT製品解体新書」の「コラム」参照)状況では、端末選びの候補から外さざるを得なくなるだろう。Windowsとの融和性も高いだけに、どうしても同プラットフォームの導入を検討したいというのであれば「Windows Phone 7」の国内登場を待つべきだろう。
 ここでは、「Windows Mobile」を除外した3プラットフォームを前提とした製品選びのポイントについて解説していく。
 また、企業に勤務する個人がスマートフォンを契約して業務に活用する、いわゆる「ビジネスコンシューマ」としての選び方には触れない。あくまで企業で一括導入し、“社員の利用が公式に許される場合”のスマートフォンの選び方についてまとめていることをご了承いただきたい。

1-1

利用者視点で考えるスマートフォンの選定ポイント

■ポイント1:通信コストを確認!パケット使い放題は当然!?

 スマートフォンに関わらず、通信端末を利用するとき常につきまとうのは通信費の問題である。ほぼすべてのスマートフォンは携帯電話網と無線LANによるデータ通信機能を搭載している。しかし、外出先でスマートフォンを利用する場合、国内における現在の携帯電話事情から言えば、公衆無線LANによるデータ通信よりも携帯電話によるパケット通信で通信する方が合理的であり、実際に利用する機会も多い。
 今回の取材でうかがったあるキャリアの法人営業担当者によれば、企業利用でスマートフォンを導入している場合、「パケット通信使い放題」の回線契約を結ばれることが多いとのこと。これは、通信コストを最高額支払ったとしても「スマートフォンをフル活用することによる費用対効果の方が大きい」という理由から。「どこでもPCと同じように利用可能でビジネスに活用できる」というスマートフォンのコンセプトを存分に活かすのであれば、通信パケット量が使い放題の上限に行くのはごく当然のことであり、もはや細かい料金を気にしている段階ではなくなっているのが現状のようだ。
 各キャリアの通信料金も、現状、スマートフォンに適用されるパケット使い放題プランであれば、金額は同一で、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアともに5985円である。

 以上のことから、通信コストからキャリアを選択し、そこから端末を選択するというような考え方はしなくてもかまわないと言える。

■ポイント2:操作性を確認!タッチパネルの操作性に違和感を感じる機種も…

 現在発売されているスマートフォンの操作体系の中心は、キーボードを搭載せず、タッチパネルを搭載したディスプレイに直接触れて操作する「フルタッチ」が主流である。なお、タッチパネルの種類には「静電容量方式」、「電磁誘導方式」、「抵抗膜方式」などいくつかの規格があるが、現在のスマートフォンで採用されているのは「静電容量方式」が多い。スタイラス不要で指先の接触のみで操作が可能な方式である。
 しかし、同仕様のタッチパネルといえども、製品によってはその使い心地が大きく異なる場合がある。それはいわゆる製品の「チューニング不足」というもので、メーカーがタッチパネルの設定に関して完全に煮詰めきれていない場合にちょっとした操作に違和感を感じることがある。端末の操作感は、実際に触ってみて確認するのが定石である。各キャリアの法人部門では導入を検討する企業に対してテスト機を貸し出すことが多いようなので、導入前には数種類の端末を同時に借り受けて操作感を確認するようにしよう。

 フルタッチが主流になる一方で、「小型QWERTYキーボード」を搭載する端末も各キャリアで販売されている。NTTドコモの「BlackBerry Bold 9700」、「LYNX SH-10B」、auの「IS01」、「IS02」、ソフトバンクモバイルの「X01SC」、「X05HT」などがそれにあたる。これはキーボード搭載を好むユーザが根強くいることを示しており、タッチパネルよりも文字は入力しやすい。しかし、実際には搭載キーボードを使っても、長文を入力するのは難しいのが実情だ。あくまで文字入力を補助する程度の仕組みと捉えて導入を検討するのがいいだろう。あえて言うなら、文字入力中心の業務でスマートフォン導入を検討するなら、“モバイルノートPC+データ通信カード”の組み合わせも合わせて検討することをオススメしたい。

■ポイント3:画面サイズと解像度を確認!画面サイズよりも解像度が重視!?

 現在発売されているスマートフォンの画面サイズは4インチ前後であることが一般的だ。au「IS01」のように、ヨコ型でやや大型の液晶を搭載する機種もあるが(同製品は約5インチの液晶とQWERTYキーボードを搭載する)、主流の製品は、タテ型のいわゆる「iPhone」タイプのフルタッチ端末である。
 この形状は、ウェブサイトをブラウジングする際や文書を表示するのに適しているだけでなく、画面下部にソフトウェアキーボードを表示しながら画面上部で文書の作成ができるという面でも適した形状である。

 画面サイズは各製品でほぼ横並びだが、スマートフォンの画面の視認性を高める上で重要なのは解像度だ。例えば「iPhone 4」が搭載した「Retinaディスプレイ」は960x640ドットの高解像度を誇り、画面にドット感はほとんど見られない。ビジネス用途に画面の高解像度はあまり関係ないと思われるかもしれないが、たとえば1画面に同じ書類を表示してみたとき、同じ液晶サイズなら高解像度の方が表示できる情報が多くなり、読みやすくなる。

■ポイント4:ホーム画面を確認!OSによって使い勝手が違う!?

 スマートフォンでは、起動直後の画面を“ホーム画面”ということが多い。このホーム画面は搭載OSによって操作感が若干異なる。例えばAndroidでは、アプリを起動するためのショートカットアイコンを配置できるほか「ウィジェット」と呼ばれるホーム画面でそのまま動作するアプリを配置することもできる。ウィジェットを配置することによって端末の画面を容易にカスタマイズすることが可能になる。このウィジェット機能は、BlackBerryも同様に搭載している。画面のカスタマイズは容易で、ウィジェットの使い方によっては、業務に特化したホーム画面の設計をすることも可能となる。
 一方、iOSを搭載するiPhoneのホーム画面にはアプリを起動するアイコンのみが表示される。アイコンの並び替えは自由だが、ウィジェットのような常時動作するアプリを画面に置いておくことはできず、カスタマイズ性は低い。そのため、エンドユーザによっては自由度に不満を抱く可能性もある。しかし、カスタマイズが不可能であることは、管理者にとって煩わしい端末の一元管理を楽にする要因でもあり、端末を使用するユーザに深い知識が備わっていなくても、粛々とスマートフォンを活用できる一因ともなる。

 スマートフォンの選択においてどちらに優位性があるかは一概には言えないが、使用目的にあわせて一考するポイントである。

■ポイント5:独自アプリを開発できる?対応できる?バージョンの違いにご注意を!

 アプリケーションの開発は、それぞれのプラットフォームにおいて基本的に自由に行える。SDKなども配布され、開発環境も整っていて、企業内で独自アプリを開発することはさほど難しくないだろう。
 また、各プラットフォームに対応するアプリを開発するサードベンダが増加しつつある。サードベンダはそれぞれで開発の得意分野を持っているのは一般的なアプリケーションと同じで、導入にあたっていずれのプラットフォームを選んでも、必要なアプリ開発の依頼先に困ることはほとんどない。
 ただし、iOSの場合、OSのマイナーバージョンアップがたびたび行われることがあり、それに応じたアプリの改変、検証が求められることもある。またAndroidの場合も同様で、バージョン違いの存在やバージョンアップの問題(コラム参照)で、同じくアプリの対応が必要となることがある。
 そういった問題を受けてか、今回の取材で得た情報によれば、最近はスマートフォンで利用するアプリを、各プラットフォームに対応した専用アプリで開発するのではなく、Webアプリケーションにする傾向にあるという。これによって、スマートフォン側のプラットフォームがいずれの場合でも、ブラウザさえ起動できれば等しく利用、操作できるというメリットがあるからだ。
 これらの点から、独自アプリを利用するのにあたっては、どのプラットフォーム、端末を選んでも大差ない状況にあると言える。

 5つのポイントをあげたが、実際にはエンドユーザ目線のみからでは、採用する端末を決定する「決めて」を見い出すことは難しい。端末選びには、次の「管理者からの目線」も加える必要があるのだ。

コラム:Android端末は“バージョン”に落とし穴が!

 一口に「Android端末」と言っても、現在販売されているAndroid端末に搭載されているAndroid OSにはいくつかのバージョンがある。さらに端末によってディスプレイの大きさや解像度、搭載カメラの画素数が異なる。機種が違ってしまえば、同じ「Android端末」というくくりの中であったとしても、微妙に仕様が異なる端末なのだ。
 OSのバージョンもたびたびアップしていて、製品の発売タイミングによって新旧OSが入り交じっている状態だ。特に現在はOSが「1.X」から「2.X」へ大きく移り変わりつつある過渡期であり、現時点(2010年11月上旬)に販売されている端末もバージョンが入り乱れている。
 いくつかバージョン違いの製品をピックアップしてみると、以下のようになっている。

ソニーエリクソン「Xperia(SO-01B)」:1.6(11月10日から2.1へアップデート可)
シャープ「IS03」:2.1
HTC「HTC Desire HTII」:2.2

 Android OSのバージョンが異なることで、端末で利用できる機能が異なることが大きな問題である。例えば、バージョン2.1以降は1.6からUIが変わったり、マルチタッチに対応したりするなどの違いがある。また、2.1から2.2へはLinuxカーネルのバージョンアップやシステムの高速化、Adobe Flashの対応、リモートワイプに対応するなどのエンタープライズ系機能の充実化などが挙げられる。このため、Androidマーケットでダウンロードできるアプリも、バージョンによっては適合せずダウンロードできないこともある。
 例えばXperiaのように、バージョンアップが無償で提供されることはあるものの、ややこしいのは、OSのバージョンが上がってもハードウェアが対応しない可能性があることだ。具体的には、XperiaはOSのバージョンが2.1になったとしても、搭載されているタッチパネル自体のハードウェアが対応していないため、マルチタッチは利用できない。いわば機能制限された上位バージョンにしかならないのである。内蔵ハードウェアを変更したり追加したりできないスマートフォンであるからこそ起こりうる問題だが、Android端末の採用を検討する場合にはこういった点も検討したい。


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