パンデミックや自然災害で業務を止めない!

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パンデミックや自然災害で業務を止めない!

2010/01/05


 やっと勢いがおさまったかに見える新型インフルエンザの脅威は学校を中心に企業・組織に大きな不安を呼び起こした。事業継続が難しくなりそうな事態が、部分的に生じた場面もあったのではなかろうか。この経験は、さらに強毒性・強感染性の病気のパンデミックに対する対策を考える必要性を多くの企業・組織に感じさせた。同時に、災害等の際の事業継続についても再考させられたケースも多いだろう。今回は、過去の災害から得た教訓を生かしてBCP(Business Continuity Plan:ビジネス継続計画)を策定し、それをソリューションとしても展開している富士ゼロックスグループの事例をひも解きながら、特に事業継続のために不可欠な書類を守るための対策を2回にわたって紹介していく。

BCP

#12

業務続行のため半壊の社屋から書類を搬出!その教訓に学んだ事例とは

 複合機の製造・販売会社の富士ゼロックスグループは、これまでに2度の大きな地震被害を受けている。1回目は1995年に発生した阪神・淡路大震災。2回目は2004年の新潟中越地震だ。
 阪神・淡路大震災は、同社グループ企業の神戸支店を襲った。幸いなことに社屋内の従業員に被害はなかったが、建物は重大な被害を受け、内部が危険な状態になったため、業務を行うことはできなかった。従業員は大阪支店に移動して業務を継続する指令が出たものの、業務に必要な重要書類のほとんどが神戸支店内に保管されていた。長期の業務停止はできないと判断した同社は、壊れかけた社屋に危険を冒して入り込み、重要書類の入った4段キャビネット20本分の書類を運び出すという作業を行った。そのおかげで債権回収や従業員の給与支給などが可能になり、事業の継続が可能となったという。
 新潟中越地震は、同グループの製品生産工場を直撃した。工場内の天井は落ち、柱は曲がり、製品の基板実装用のはんだ材がとび散るなどの甚大な被害が生じた。この被害により同工場ではまったく生産ができない状況に陥り、全世界からのオーダーをストップしなければならない事態に追い込まれた。しかし復旧活動の成果はめざましく、被災5日目からはかろうじて一部の生産を再開することができ、10日後には90%までの操業ができるようになったという。
 もともと同社グループでは1992年から地震発生の際の緊急事態対応体制を整備してきており、阪神・淡路大震災時の教訓も、この地震の際に生かすことができた。現地に対策本部、本社に統合対策本部を設置して情報収集や事業再開のための対策を尽くしたことが、長期の事業停止に陥ることを防いだ。また重要書類は新潟の場合は倉庫に保管されており、無傷だったことも幸いした。
 これら2度の被害を経験した同社グループでは、被災経験をもとにしたBCPを策定・実施し、現在では全グループで体験を共有して、災害時の事業継続がスムーズに行える対策を末端にまでゆき届かせている。




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BCPとは何か

 阪神・淡路大震災や新潟中越地震はどちらも多くの企業の事業停止を招き、多大な損失を生んだ。その影響範囲は被災企業にとどまらず、その企業が関与するサプライチェーンのはしからはしまで至るところに及び、経済的なダメージを広い範囲に与えてしまった。もちろん地震に限らず、台風や雪害などの自然災害や、火災や爆発、停電、通信障害等の人為的な事故、テロや犯罪などの犯行も同様に事業停止を引き起こす。いったん事業停止が起きると、事業で得られるはずの利益を失うのはむろんのこと、業務上でつながりをもつ顧客や取引先にも被害が波及してしまう。
 そうした中で、多くの企業が実施の必要性を感じているのが「BCP(Business Continuity Plan)」だ。BCPは災害時やパンデミックの発生時などでも事業を継続していくための行動計画のことをいう。またBCPの運用から見直しを含むライフサイクルを管理する仕組みについては「BCM(Business Continuity Management)」と呼ばれている。BCP・BCMは、自社の被害局限化のために役立てるばかりでなく、取引先・顧客からも強く要請されるようになってきた。
 BCPの有無により、地震などの災害時にどのような違いが表れるかを示すのが図1だ。

図1 事業継続計画(BCP)の概念(内閣府・事業継続ガイドライン 第二版より)
図1 事業継続計画(BCP)の概念(内閣府・事業継続ガイドライン 第二版より)

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