WAN高速化ツールはサーバ統合の味方!?

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WAN高速化ツールはサーバ統合の味方!?

2010/01/18


 ネットワーク回線の高速化、低価格化に伴い、拠点間でやり取りされるデータ量は急激に増加している。近年ではデータセンタへのサーバ統合が進み、その傾向は強まる一方だ。こうした状況から注目を集めているのが、拠点間のデータ通信を速くするWAN高速化ツールである。2〜3年前は“ポイントソリューション”としての色合いが強かったが、現在ではネットワーク設計時に既に組み込まれるケースも増えてきているという。そこで今回は、WAN高速化ツールの基本機能と実装方法を解説するとともに、WAN高速化検討時の盲点、製品の具体的な利用シーンについて紹介していく。
 IT製品選び方ガイドでは、製品導入を検討する上でのチェックポイントについて解説しているので、そちらも併せてご参照いただきたい。

WAN高速化ツール

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WAN高速化ツールを解体しよう!

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WAN高速化ツールとは

 WAN高速化ツールはその名が示す通り、拠点間のデータ通信を速くするための装置だ。データ伝送時に発生する遅延の影響を低減し、高速なデータ通信を実現する。ユーザ企業がツールに期待する効果としては、WANを介して利用するアプリケーションのエンドユーザ側のレスポンスタイム向上、あるいはWAN上を流れるトラフィックのデータ量の低減などがある。
 実際の機能としては、TCPの最適化、圧縮、キャッシング、アプリケーションの高速化が挙げられる。それでは順番に見ていこう。

図1 WAN高速化ツールを導入した企業ネットワーク例
図1 WAN高速化ツールを導入した企業ネットワーク例
資料提供:ジュニパーネットワークス
■TCPの最適化

 TCPによるデータ通信では、まずデータの送り手が一定単位のデータ量(ウィンドウサイズ)を受け手に送り、受け手側からACK(ACKnowledgment)と呼ばれる“送信OK”の返事を待って次の転送に移ることになる。つまり1回のやり取りが正しく成立するまでは、次のデータ転送は行なわれないということだ。
 またパケットが2つのホスト間を一往復する時間をラウンドトリップタイム(Round Trip Times;以下RTT)というが、この時間が長ければ長いほど通信成立までの確認時間も長くなる。結果、回線の帯域に余裕があってもデータ転送が行なわれない状況が発生し、スループット(実効速度)は低下するということになる。こうした問題を解決するために、WAN高速化ツールでは、ウィンドウサイズを大きくすることで確認応答の回数を減らし、スループットを向上させる機能を提供する。

 この他、TCPを高速化する技術として、WAN高速化ツールが受け手に代わってACKを返すことで伝送幅の拡張を可能にする代理応答技術や、伝送途中にパケットがロスした場合、再送要求を出すのではなく、ツール側でパケット損失を修復する技術などがある。

図2 パケット損失対策技術の概要
図2 パケット損失対策技術の概要
資料提供:ジュニパーネットワークス
■キャッシュ

 キャッシュは、WAN回線に流れるデータ量を低減するための機能だ。1度めに送出されたデータをWAN高速化ツールのハードディスクに蓄積しておき、次に要求があった場合には、拠点ごとに設置されたツールがローカルでレスポンスを返すことで伝送速度の向上を実現する。バイト単位でキャッシュされるバイトキャッシュ、ファイル単位でキャッシュされるオブジェクトキャッシュがある。

■データの圧縮

 この圧縮も上記のキャッシュと同様、WAN回線内を流れるデータ量を抑えるための機能だ。一般的に用いられるのはLZ圧縮の技術で、データ自体を圧縮することでWAN回線を流れるデータ量を小さくし、伝送速度の向上を実現する。TCPトラフィックだけでなく、UDP(User Datagram Protocol)トラフィックを圧縮可能にする技術を持つベンダもある。

■アプリケーションの高速化

 アプリケーションの高速化は、通常ならWAN回線を介してクライアントとサーバが直接やり取りするアプリケーション処理を、WAN高速化ツールが代行することでWANの高速化を実現するものだ。従来1つのセッションだったやり取りを3つに分割し、その各々で高速化を図る形になる。具体的には、拠点側のクライアントとWAN高速化ツール、拠点側のWAN高速化ツールとデータセンタ側のWAN高速化ツール、そしてデータセンタ側のWAN高速化ツールとサーバ、といった切り分けになる。
 拠点側のクライアントおよびデータセンタ側のサーバに対しては、各々のLAN内にあるWAN高速化ツールが相手側への対応を代理で行なう。またWAN回線で接続されたWAN高速化ツール間のデータ伝送には、データ圧縮やTCP最適化の技術が適用される。
 WAN高速化ツールでカバーされているアプリケーションは製品によって異なるが、代表的なものとしては、Windowsベースのアプリケーション(CIFS)、UNIXベースのアプリケーション(NFS)、Microsoft Exchange Server(MAPI)、Webアプリケーション(HTTP/HTTPS)などがあり、中にはLotus Notesまで対応可能なものもある。ちなみに( )内は、各アプリケーションで使用されるプロトコルである。

図3 ツールの導入により最適化されたアプリケーション転送の例
図3 ツールの導入により最適化されたアプリケーション転送の例
資料提供:リバーベッドテクノロジー
■その他の機能:パケットの可視化/QoS 〜仕事中のYouTubeは止められない!?〜

 ここまで見てきたように、WAN高速化ツールの基本的な機能は、WAN回線に流れるデータ量を抑えるもの、そして、クライアントおよびサーバの処理を代行するもの、だと整理することができる。
 次に紹介するのは、WAN高速化をより効果的に実現するための機能で、「パケットの可視化」を図り、「QoS(Quality of Service)」を実現するものだ。

 実は、企業内には娯楽系のトラフィックも非常に多く流れており、トラフィック全体の実に56%にも相当するという調査結果もある。

図4 娯楽に使用される帯域の割合
図4 娯楽に使用される帯域の割合
資料提供:ブルーコートシステムズ

 そこでやみくもに高速化を図るのではなく、まずはWAN回線上をどんなパケットが流れているのかを明らかにし、重要なアプリケーションや遅延が許されないデータ通信については高速化対象としての優先順位を上げる、という対応策を取るのが順当だ。
 最近であれば、IP電話やテレビ会議などのトラフィックがその対象となるだろう。また製造業なら、海外の工場と頻繁にやり取りするCADデータの優先度は非常に高い。何を優先するかは、当然のことながら企業によって異なってくる。
 まずは自社にとって重要なアプリケーションを順位付けしておく。次に流れるパケットを可視化して、WAN回線の帯域の占有状況を把握する。そして、優先順位の高いものは帯域を確保し、不要な娯楽系のトラフィックについては帯域を絞るという対応を取るのだ。
 パケットの可視化や帯域制御の機能は、WAN高速化ツールに標準搭載されているというよりも、オプションや別製品として提供されている場合が多い。

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