5つの視点でおさえる「無線LAN」選択術

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5つの視点でおさえる「無線LAN」選択術

2009/03/23


 国際標準機関IEEE802.11委員会が発足して無線LANの標準化の検討が始まったのは1990年のこと。2000年に入るとWiFiアライアンスとの連携によりコンシューマ市場での普及が始まり、ようやく最近になってIEEE802.11n Draft 2.0対応製品も増え始めたことから通信速度の高速化がなされ、一般オフィスへの無線LAN導入促進が期待されている。そこで今回のIT製品選び方ガイドでは、アクセスポイント(AP)を中心に無線LAN製品を選択するときのポイントを分かりやすく紹介する。また、無線LANの基本情報から注目機能を「IT製品解体新書」で詳しく触れているので、こちらもあわせて参考にしてほしい。

無線LAN

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1

アクセスポイントを中心とした無線LAN製品の選び方

 無線LANにはIEEE802.11a/b/g/nといった複数の通信規格が存在しているので(詳しくは「IT製品解体新書」参照)、場合によっては、それぞれの規格における混在利用を考慮する必要がある。例えば、周波数帯が2.4GHz帯ならIEEE802.11b/g/nが、5GHz帯ならIEEE802.11a/nが混在環境で動作することになる。IEEE802.11nはIEEE802.11a/b/gに対して互換性があり、IEEE802.11gは802.11bと互換性があることから、通信速度はそれぞれの規格によって変化するものの、お互いに接続することができる。しかし、IEEE802.11aとIEEE802.11b/gでは周波数帯が異なることから相互接続はできない。ただし、全規格に対応している製品の中には、同時に全規格の通信が可能な製品もある。その場合には、無線クライアントAはIEEE802.11aで接続し、無線クライアントBはIEEE802.11gで接続するといった使い方が可能だ。
 また、既にIEEE802.11aを導入している場合には注意が必要だ。実は2005年5月の電波法改正により、IEEE802.11aで使われているチャネルが変更され、2005年5月以前の製品と以降の製品とは共通チャネルがないことから通信することができないのである。ただし、改正以前の製品の大半はファームウェアのバージョンアップで新しいチャネルに変更することができる。
 一方、規格間の互換性だけでなく、ベンダ間の互換性にも注意を払う必要がある。大半のベンダでは、1つのベンダ製品だけで無線LANを構築することを強く推奨している。同じ規格に準拠した製品同士であれば、ベンダが異なっても原則的には接続することができるが、大抵の場合、各ベンダで独自の拡張機能などを搭載しているケースが多く、正常な通信ができないケースもある。また、通常、他社の無線LAN製品との接続に関するトラブルはサポート対象外となることから、現時点では、マルチベンダによる無線LAN構築は避けたほうが無難だ。
 こうした点を考慮した上で、次の5つの視点から検討を重ねていくとよい。

製品選択の5つの視点

1 :

サイトサーベイをしっかり行ってくれるか

2 :

セキュリティ対策の評価

3 :

構築ノウハウの確認

4 :

実効スループットの評価

5 :

導入後の運用管理サポート

1-1

サイトサーベイをしっかり行ってくれるか

 無線LANを構築するときは、最初に電波状況の調査(サイトサーベイ)を必ず実施しておく必要がある。これをいい加減な調査で済ませてしまうと、「どこまで電波が届いているのかよく分からない」、「構築したものの通信できないエリアが発生した」、「ローミングがうまくいかない」といった問題に遭遇することになる。
 例えば、電波の届いている範囲をしっかり把握していないと、電波強度を必要以上に上げ過ぎた場合には、社外の第三者に不正アクセスされる危険性が高くなったり、近隣のオフィスに電波干渉を与えてしまったりすることがある。逆に電波強度を下げ過ぎた場合には、社内の通信に支障が生じてしまう。また、設計通りにAPを配置したはずなのに、なぜか通信できないエリアが発生するケースもある。この原因は壁やパーテーションなどの障害物に電波が反射してしまうといった電波の特性によるものである。この解決策は見通しのよい場所にAPを配置すればよいという単純な話ではない。電波は反射しながら回り込むことも可能なので、エリア外と思われる場所でも十分な通信速度を確保できるケースもある。また、無線LANでは複数のチャネルを切り替えて使うことができるが、隣接するチャネル同士が重なり合うと電波干渉が発生して通信速度が低下したりすることもある。
 一方、無線クライアントは自分に一番近いAPと通信を行うのが原則だが、そのAPから遠ざかっていくにつれて通信速度が低下し、別のAPに近づくと、そのAPに通信が引き継がれるというローミングが行われている。この場合、AP同士の引き継ぎがうまく行われないと、音声通信では音切れが発生することになる。
 そこで、無線LAN導入に当たってこうした問題が生じないよう、徹底したサイトサーベイを実施してくれるベンダやSIerを選択したい。図1に示すSIerの場合、以下のような調査を行ってくれる。

サイトサーベイによる調査内容の例

社外から発せられるWiFi電波状況の確認

社内から発せられるWiFi電波状況の確認

電波干渉状況の確認

設置したAPの電波到達範囲の確認

上下階での電波状況の確認

オプション調査(工場などのノイズの多い環境では、スペクトラムアナライザを用いた電波調査を実施)

図1 サイトサーベイツールの測定画面例・サイトサーベイサービスの例
図1 サイトサーベイツールの測定画面例・サイトサーベイサービスの例
目に見えない無線の強度や電波の到達範囲をサイトサーベイすることにより、トラブルフリーの安定した無線LAN構築が可能になる。
 (資料提供:ディアイティ)

 こうしたサイトサーベイは、無線LAN機器の設置導入前に1回行えばよいというものではなく、仮設置調査や、導入後調査も合わせて実施することが肝要だ。仮設置調査では、導入予定のAPを2〜3台仮設置し、電波の到達範囲や電波の使用状況を確認する。実際に使用するAPを用いた計測のため、より精度の高い設計が可能になる。また、導入後調査は、無線LAN機器を設置導入後にトラブルが多発したり、ユーザの満足度が低下したりした場合などに実施するもので、現場調査を基にチャネルの使用状況を確認し、電波干渉が発生しないチャネル構成に変更する。

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