”地震大国”日本の救世主!「UPS」全解剖

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製品の基礎をきちんと理解! IT製品解体新書

”地震大国”日本の救世主!「UPS」全解剖

2008/07/28


 電源障害発生時にPCや周辺機器にしばらくの間電源を供給するUPSは、サーバやネットワーク機器のバックアップを対象に、約8割近くの企業で導入が進んでいる。さらに最近では、サーバ統合などの観点でシステムの再構築が行われつつあり、UPSの給電方式の違いや設置形態などを見直してみるよい機会とも言える。そこで本特集ではUPSの基礎知識をおさらいするとともに、UPSの効率的な活用法、さらには最新動向についても紹介していく。
 さらに「IT製品選び方ガイド」ではUPS製品を選ぶ際に注意すべきポイントについて、手順を追いながら、明らかにしていく。

UPS

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UPSを解体しよう!

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タダの付属品じゃない!UPSの基礎知識を知ろう!

■UPSが求められる理由とは?

 諸外国に比べ、比較的電源環境が良好だと言われている日本。しかし、台風や地震、雷などの自然災害や、予期せぬ事故によって、長時間ではないものの停電することも珍しくない。2006年8月クレーン船のアームが送電線に接触し、首都圏140万世帯が約3時間停電した事故は記憶に新しい。
 また、電源障害というと上記のように「停電」だけを思い浮かべがちだが、実はほかにもいろいろある。

■電源障害の種類

瞬時停電:電力会社の送電線ルートの切り替えなどによる1秒未満の停電のこと。サーバやクライアントではRAMエラーが発生、システムがロックされてしまう。システムクラッシュを招くこともある。

瞬時電圧低下(瞬低):落雷や雪害などが原因で起こることが多い。送電線に落雷すると高電圧により閃絡(フラッシュオーバー:極端な高電圧により引き起こされる電気的火花)が発生、送電線の電圧が降下する。回復までは1秒未満(0.07秒から0.2秒)だが、そのような短い時間でも機器によっては、停止したり、誤動作したりし、処理中のデータは失われてしまうことがある。

電圧変動:電源電圧が上昇・低下すること。電圧低下は、一般的には電源設備容量が小さい場合、大きな電力を稼働させた時などに起こることが多い。一方、電圧上昇は外部の雑音などが原因となることが多い。

サージ:一時的な電圧の上昇(過電圧)や過電流全般を指す。雷や配電系統の切り替えなどによって発生するが、雷サージを意味するケースが多い。許容量以上の高電圧を受けるため、ハードウェアの損傷やデータの破壊など、大きなダメージを受ける。

ノイズ:落雷のほか、産業機械、発電機、無線送信機、電子機器など、電気を必要とするあらゆる機器から発生される。実行中のプログラムやデータファイルに不具合やエラーを起こすことがある。

■UPSの内部構造

 UPSの内部構造の名称と役割は以下の通りである。

図1 UPSの内部構造
図1 UPSの内部構造
資料提供:NTTファシリティーズ

転送信号端子台:シリアル通信出入力、接点信号出力のための端子台。

メンテナンスバイパスブレーカ:制御回路をPCなどにつなぐための遮断機。

入力ブレーカ:交流が整流器に入るまでに設置されている遮断機で、インバータ入力回路の保護をする。

出力ブレーカ:交流出力する直前の回路に設置されている遮断機で、出力回路の保護をする。

表示パネル:UPSの状態などを表示するパネル。

 このような、予期しない電源障害発生時に、機器の損傷やデータの損失を防ぎ、一定時間、電力を供給するための装置がUPSである。

■主なUPS給電方式の種類

 UPSには大きく分けて内部構造が異なる3つの給電方式がある。

1.常時インバータ方式
 常時整流器(交流から直流に常時変換する機器)からインバータ(直流から交流に逆変換する機器)を通して、正弦波(電圧が時間とともに同じ変化をくりかえしている状態)出力で給電する方式(図2参照)。電源障害時は無瞬断でバッテリ運転に切り替わり、インバータを通して給電する。装置の故障や保守点検時には、バイパス回路(非常時の際に使用されるバックアップライン)から直接、電力を供給できる。内部構造はバッテリと整流器、インバータ、半導体スイッチなどで構成される。常時インバータの派生として、整流器の変わりにコンバータを採用したダブルコンバージョン方式、またそれを改良したデルタコンバージョン方式(デルタ変圧器、デルタインバータ、メインインバータ、バッテリで構成)などがある。

特徴:瞬断を許さず、波形補正もなされるため、高品質な電力を供給する。信頼性が高いため、同じ容量のUPSでもほかの方式に比べ価格は高くなる。デメリットは常時整流器でACをDCに変換し、インバータでDCをACに変換して給電するため電力ロスが大きく、ほかの方式に比べ低効率であることだ。また、常にインバータ・コンバータ回路を稼働させているので、UPS自体の消費電力もほかの方式に比べて大きくなる。どのような電源環境でも対応可能だが、比較的電源変動がある場所での使用に向いている。どのような電源トラブルも許されない重要負荷に適用されることが多い。外形寸法は一般的に小さく軽いが、ラインインタラクティブ方式よりも、多量の熱を放出する。

図2 常時インバータ方式
図2 常時インバータ方式
資料提供:オムロン

2.常時商用方式
 平常時は常に商用電源から供給し、停電などの電源障害が発生したときは、出力側スイッチを内蔵されているバッテリに切り替え、インバータから給電する方式。内部構造は図3を見れば分かるように、バッテリと充電回路、インバータ、リレー(継電器)で構成される。

特徴:小型のUPSに使われることが多い。インバータを使うのは電源障害が発生したときのみで、常時は商用電源をそのまま使用するため電力ロスが少なく高効率であり、省エネにつながる。内部構造がシンプルなので、小型化、低価格化が図りやすい。デメリットとしては切り替え時に10msecほどの瞬断が発生することだが、一般的にパソコンやサーバなどでは、10msec程度の瞬断であれば問題がないと言われているため、電源事情が良く、負荷の重要度がそれほど高くなければ、十分活用できる。

図3 常時商用方式
図3 常時商用方式
資料提供:オムロン

3.ラインインタラクティブ方式
 常時インバータ方式と常時商用方式の持つメリット、デメリットを最大公約数的に活かした方式(図4参照)。常時は商用電源からオートトランス(電圧の高さを調整する装置、単巻変圧器のこと)で電圧の高さを安定させ、ノイズを除去して供給する。電源トラブル時はバッテリからインバータ給電に切り替わる。切り替え時間は常時商用方式と比較すると、短いとはいえ、無瞬断ではなく5msecほど必要となる。内部構造はバッテリ、オートトランス、整流器、インバータ、切り替え器で構成される。

特徴:普段は商用電源を供給するため電源ロスが少なく、高効率、ノイズ除去や電圧調整もされているため、より高品質な電力供給が可能になる。常時インバータ方式よりも内部構造がシンプルになるため、同方式のデメリットである価格の高さも解消できる。切り替え時間は5msec以下と短く、サーバでは10msecぐらいの瞬断ではシステムダウンになることはほとんどないため、PCやサーバ、ルータなどの省電力負荷への使用に適している。現在、企業情報システムにおいて、最も導入率の高い方式である。

図4 ラインインタラクティブ方式
図4 ラインインタラクティブ方式
資料提供:オムロン
■既存方式のデメリットを解消した給電方式

 無瞬断での電力切り替えが可能な方式は常時インバータ方式だけではなく、以下のような方式もある。

デュアルコンバージョン方式:常時インバータ方式のデメリットである変換効率の悪さを改善するための回路方式。内部構造はバッテリと直列コンバータ、並列コンバータで構成されている。常時電源は直列コンバータで出力電圧を制御し、出力する。停電時はバッテリから直列コンバータ経由で供給する。並列コンバータの役割は、直列コンバータへのエネルギーを補償し、入力電圧変動を吸収するためである。

特徴:常に直列コンバータから給電されるため、低電圧で高品質な電力を供給する。常時インバータ方式は全エネルギーをACからDCに変換するが、同方式は入力電圧の変動分のみ並列コンバータでACからDCに変換するため、効率が向上する。常時インバータ同様、いかなる電源トラブルも許されないミッションクリティカルな用途に適用されることが多い。

パワーマルチプロセッシング方式:入力電流を電力変換器で昇圧、降圧し、最適な出力電力を供給する方式。最小限の変換動作で安定した電源供給が可能になる。電力変換器が故障した場合は、瞬時にバイパス回路に切り替えて供給できる。

特徴:常時インバータ方式よりも、電力変換効率が高く、主にサーバなどの重要な負荷機器向け。常時インバータ方式同様、電源環境は選ばないが、この方式を採用しているUPSの種類は少なく、価格も比較的高いケースがある。

パラレルプロセッシング方式:常時はアクティブフィルタ運転となり、無効電流や高調波電流を補償、高品質の電力を供給する。停電時、ACスイッチはオフ状態となり、無瞬断でUPS運転に切り替わり、バッテリから電力を供給する。内部構造はACスイッチと双方向変換装置(コンバータ/インバータ)、バッテリで構成される。

特徴:常時インバータ方式よりも、電力変換効率が大幅に高い。発熱量も常時インバータ方式に比べ、大幅に低減している。工場生産設備、半導体製造装置、照明設備などに使われることが多く、比較的電源事情の良い環境での使用に適している。

■UPSの要!!「バッテリ」にまつわる基礎知識

【UPSには寿命がある】
 UPSの構造の大部分を占めるバッテリには、寿命がある。寿命は温度が高くなるほど短くなるなど、周囲温度にも左右される。電気機器の安全使用の普及・啓発や技術研究開発への支援などを行う日本電機工業会(JEMA)によると、バッテリの寿命は一般的に1〜3年ぐらいであるとされている。最近では長寿命バッテリも登場しており、標準バッテリの約2倍の長さと謳っており、2〜5年での交換を勧めているケースもある。目安としては、バックアップ時間が導入当初の約半分になったときが、交換時期とされる。
 またUPSの中にはファンを内蔵しているものもあるが、そのファンなどの消耗品も約3年を目安に交換するのが望ましい。UPSは一度買えば恒久的に使えるものではない。一般的にUPSはシステムの刷新時に見直すことが多いが、JEMAが発行している汎用UPSのユーザーズガイドラインによると、UPSの耐用年数は10kVA以下のもので5〜6年、10kAV以上のもので6〜10年とされており、導入後5〜6年目をめどに買い替えを検討するのが望ましい。
 電源障害という非常時に動いてこそのUPS。そのためにも、1年に1度は定期点検をすることも必要だ。

【バッテリは廃棄物】
 交換したバッテリは、廃棄物処理法(廃棄物の排出抑制、適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分などを行い、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とする法律)で定められている手続きを踏んで廃棄しなければならない。バッテリを廃棄する際には、特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、廃棄物処理の資格を持つ運搬業者、処理業者に依頼して処理する。また処理が確実に行われたことを証明できるよう、記録することも求められる。メーカーによって廃棄に対するサポートは異なり、無償で不要になったUPSを引き取るサービスを提供しているメーカーもある。有償無償の違いはあるものの、ほとんどのメーカーで、引き取りサービスを提供しているので、廃棄する際は必ずメーカーに問い合わせることを推奨する。

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