世界初!バクテリアで動くモーター!?

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5分でわかる最新キーワード解説
今週のキーワードはこれだ! 掲載日: 2007/10/03
「バクテリア駆動型モーター」ってなんだ?!

 日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「バクテリア駆動型モーター」。分子レベルの微小なモーターの動力として、なんと生き物であるバクテリアを使ってしまおうというユニークな研究が行われています。SF映画さながらに、人体の中に微細なメカを送り込んで手術したりするような日も遠くないのかもしれません! 「バクテリア駆動型モーター」ってなんだ?!

バクテリア駆動型モーターとは

 科学技術の研究テーマの1つに、「どこまでモノを小さくすることができるか」を究める「ナノテクノロジー(微小化技術)」という分野がある。これはナノサイズのマシンを開発したり、ナノサイズで物質を制御・分析したりする技術のことだ。ナノサイズとは、10億分の1メートル単位の微小なサイズのこと。ナノテクノロジーでは、ナノメートル単位で分子を操作しながら物質の構造と配列を制御することにより、ナノサイズ特有の物質特性を利用した新しい機能を実現することを目指している。すでに、ナノテクノロジーは新たな産業革命を起こす最重要科学技術として世界中で盛んに研究が進められているが、今回取り上げるバクテリア駆動型モーターは、生命科学分野のナノテクノロジー研究における画期的な成果の1つである。


バクテリアで駆動する微小モーター

 バクテリア駆動型モーターとは、サカナの寄生菌で哺乳類には無害である「Mycoplasma mobile」という、長さ500nm(nmはナノメートル)ほどのナス型をしたバクテリア(滑走細菌)を駆動力源に使った微小回転モーターのことだ。産業技術総合研究所(産総研)のセルエンジニアリング研究部門生体運動研究グループが世界で初めて開発に成功した。
 ガラスやプラスチックの表面を滑走運動するバクテリアにはいろいろなものがあるが、Mycoplasma mobileの場合、動いたり止まったりすることなく連続的に滑走運動をすることから、このバクテリアが微小モーターの動力源として採用された。今回開発されたバクテリア駆動型モーターの構成図を図1に、このモーターに取り付けられた実際の微小ローター(羽根車)の様子を図2に示す。
 まず、ガラスの表面に、リソグラフィーと呼ばれる半導体微細加工技術を使って円形の溝を作成し、その溝の中にバクテリアを入れる。ただし後述するように、この円形トラックには、大半のバクテリアが同一方向(図の場合は時計回り)に回転運動するような工夫が施してある。次に、この円形トラックにちょうどはまるような突起を持った直径20μm(1μm=1000nm、μmはマイクロメートル)の微小ローターを用意する。微小ローターもリソグラフィーを使って作成する。一方、バクテリアの表面にはビタミンの一種であるビオチンを付加し、微小ローターはストレプトアビジンというタンパク質で表面を覆っておく。そして、円形トラックに微小ローターを取り付ける。すると、ビオチンとストレプトアビジンは強い親和性(物質同士が結合する性質)があるので、バクテリアは微小ローターの突起部分としっかり結合され、微小ローターはバクテリアの滑走運動と共に時計方向に回転し始める。このときの回転速度は約2rpm(回転/分)、トルクは2〜5×10-16Nmである。

 
図1 バクテリア駆動型モーターの構成
図1 バクテリア駆動型モーターの構成
資料提供:産総研
図2 今回開発された微小ローター
図2 今回開発された微小ローター
資料提供:産総研

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