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 運用コストを減らすワザ50(応用) 掲載日:2004/07/16
 ITIL

 P&G社は日用品や紙製品の製造販売で有名なグローバル企業である。ITILを導入して大きな成果を出していることは、昨年の記事「変更管理」の中で触れた。昨年の記事は変更管理に関する部分を中心に取材し構成したが、実際には記事にあるとおり「サービスデスク」、「問題管理」、「変更管理」、「サービスレベル管理」の4つのITILが定義するプロセスでの導入を同時に図ったのである。
 今回は、その後の状況も含め、ITILの導入の全体像を紹介していく。
ITILイメージ


ITIL導入でシステム信頼性15%以上の向上を達成したP&G

● P&G概要 ●
 洗剤や紙製品などの家庭用一般消費材約300ブランドを世界160ヶ国以上で販売する多国籍企業。約80ヶ国に現地法人をもち、従業員数は約98,000人を数える。本社はアメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ。
● システム概要 ●
 基幹システムは本社のあるアメリカ・オハイオ州のメインフレームを利用。グローバルネットワークや業界VANを利用して受発注のサービスを行っている。日本全国にディストリビューションセンターが10拠点以上あり、カスタマーセンターはシンガポールにおいている。

ITIL導入の背景
 最初に、同社がITILの導入に踏み切った背景について前回よりも少し詳しく説明しておこう。グローバルな情報システムを持つ同社の日本のシステム部門における主要な役割の1つは、エンドユーザー数がのべ600名に及ぶ受発注系システムの管理をいかに合理的に行うかである。
 同社がその役割を果たすことにおいて、課題としていたのは次の点である。

図1 ITIL導入の背景
図1 ITIL導入の背景
(資料提供:プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク)

1) 組織目標とワークプロセスのユーザー部門との共有化
  受発注系のシステムの組織の目標が共有されておらず、各部署の役割や仕事の透明性が不十分。標準化によって透明性とコントロール性を確保する必要があった。同時に、見えにくかった仕事量や効率性についても定量的に把握することが求められていた。
2) 継続的コスト削減とユーザー満足度の向上要求
  情報システムのコスト削減のために、外注化、コールセンター化、組織変更、責任明確化などの対策をとって継続的に取り組んできたが、コスト削減が達成できず、システムサポートはさらに多様化、複雑化して、これに関する労力、時間は増える一方であった。また、グローバルなシステムインテグレーションを行おうという要求もあった。
3) 報告、連絡、連携の困難性
  上司・同僚・部下、開発部門、社内組織、関係会社間での報告、連絡、連携がスムーズにいかないことも改善課題と見なされた。その要因の1つにはドキュメント整備がされていないこともあった。
4) 要員士気維持、向上の困難さ
  24時間毎日システムを安定稼働させることに対する時間的プレッシャーが常にスタッフにかかり、また特定の技術者へ負荷が集中していた。それに加え、事故処理や苦情処理が相次ぎ、達成感、満足感をスタッフが得る機会が少なかった。非計画的な仕事も多いため、スタッフの士気の維持、向上を図ることが難しかった。

 同社では、これらの初期課題に対して、どのような解決を図るべきかを検討し、全社的IT戦略の中で日本のP&Gが担当している運用管理業務について、目的の明確化を行い、とるべき行動を切り出していった。その結果は、次の図のようにまとめられた。4つの目的に対してやはり4つのアクションが必要とされ、それらを合理的に実現する手法としてITILが参考として選ばれた。

図2 目的の明確化とアクションの絞込み
図2 目的の明確化とアクションの絞込み
(資料提供:プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク)

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